BBC-earth 小さな世界はワンダーランド TVオリジナル完全版 Vol.1

BBC-earth 小さな世界はワンダーランド TVオリジナル完全版 Vol.1

【映画狂的評価】 ネズミ好き以外は観る必要なし

画像出典:ウール羊と “ちょこっと” ニャン吉

昆虫の目線で彼らの生活を人間の生活の如く描いた名作、映画『ミクロコスモス(1996)』のネズミ版といった感じです。ミクロコスモスの監督や脚本家は生物学者で15年程もかけて撮影されているので、人と同じように自然界で生きる昆虫達の世界にグイグイと引き込まれ人の命も虫の命も本質的には違いがないのではないかと鑑賞者に感じさせてくれる素晴でした。今回のこの作品はその二番煎じでしかありません。

ただ、こうした小さな生物たちの目線で作品を創るという手法は、今後一つのジャンルとして確立してゆくようにも思われるので二番煎じ的な見方ではやめてみることにします。

しかし、なんで最初の舞台となっているアフリカのお母さんネズミが殺されて、赤ちゃんネズミだけが取り残されて舞台はアメリカに変わるんだ?マジで糞だ。意味がわからん。

ただ、少しはいいカットもあります。途中ネズミとはまったく関係のないフンコロガシが崖から落っこちて自力で崖を糞と一緒に崖を登りきったところで、今度は鹿の群れに遭遇しその振動で再び真っ逆さまに落っこちてゆく姿はドリフターズ的な感じがして笑えたし、また下の画像のようにスコーピオン・マウスが雄叫びをあげるカットなどもカッコよかった。

画像出典:ウール羊と “ちょこっと” ニャン吉

画像からもわかるように照明から画の構図や動き、声に至るまで緻密に計算され登場する全ての動物たちがどこか演者さんのように扱われているこの作風はある意味面白いが、かといって劇映画のような感動があるわけでもないのが残念だ。そして、何か月もかけてこの生き物の生態に迫る程のドキュメンタリー性もなく、前述してきたような様々な要素が中途半端に混ざりあった様はまるで品種改良途中段階のフルーツといったところだ。

さっきも書いたがアフリカとアメリカのネズミが交互に描かれているので、せっかく主役のネズミに感情移入したと思ったら、今度は他のネズミの画に変わり、そしてまた感情移入し始めたと思ったら最初のネズミの話に戻ったり鑑賞意欲がブツ切りされ非常に観づらい作品です。ただ、生物好きにとっては知らない動物の生態を超ハイテク機材で撮影した動画が観れるので、そういった意味では面白い作品です。

画像出典:ウール羊と “ちょこっと” ニャン吉

【制作者的視点】タイムラプス撮影が凄い

オープニングにある実写でのキノコの生長をほんの数秒で描いたタイムラプス動画は面白かった。ただ、登場する動物と何かしら関係のある植物のとかにできなかったのだろうか?同じく合成で星空のタイムラプスの合成カットなども絵画のように美しかったりもする。動画としてワンカットワンカットがしっかりと作りこまれていて、その美しさは映画館での上映に充分に耐えられる作品でもある。また微速度撮影の画も良かった。

特典映像のメイキングは制作者として観ればかなり面白いです。メイキングはありがたいし、とても勉強になります。上の3枚目の画像は制作者たちが地面に穴掘って撮影しています。またREDで撮影しているのでネズミの走りなんかも地面をしっかりと掘ってカメラスライダーを埋めこみ、テスト撮影では主役のネズミの大きさのぬいぐるみで何度もテスト撮影をしていました。感動的です。何テイクしたのか気になるところですが相当な手間がかかっているのがわかります。撮影スタッフはどうやら3人だけのようです。ネズミ用のセットを自然のものでつくりブルーバックなども後ろに設置し、照明機材も普通のHMIを使用していたように見えました。効率良く撮影することの手本にはなりますね。ありがとうございます。

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