君の名は。

君の名は。

【映画狂的評価】 人の根本意識を見事に映像化した名作

画像出典:piacinema.xtwo.jp

《お勧め度》
一人鑑賞:★★★★★
カップル:★★★★★
親子:★★★☆☆
友達同士:★★★★☆

公開:2016年8月26日(日本)
2016年12月1日(イギリス)
2017年4月7日(アメリカ・カナダ4)
製作国:日本
配給:東宝(日本)
制作会社:コミックス・ウェーブ・フィルム
声優:神木隆之介/上白石萌音/長澤まさみ/市原悦子
音楽:RADWIMPS
監督/原作/脚本/絵コンテ:新海誠監督
製作:川村元気/武井克弘/伊藤耕一郎

最初は普通の高校生が主役の物語だったのでアニメーションじゃなくても実写でいいんじゃないかと思って観てましたが、地球上を横切る彗星と恋に落ちる悦びのようなものがアニメーションならではの美しい壮大な描写で描かれていて正直とても感動しました。アニメならではの絵の広がりや美しさを効果的に用い、人の心の無限な悦びや悲しみを的確に表現した名作です。時空を超えるというありがちなストーリー展開も、彗星の飛来という非日常的な背景によって違和感なく楽しむことができます。また、原作本も新海監督によるもので、映画公開の2か月前に発売され、映画公開前に50万部、2016年年内で最終的には119.7万部も売れたそうです。

恋愛SFアニメといったらいいのでしょうか、様々な細かい設定も素晴らしいとしか言いようがありません。入れ替わる2人に意識、世界最古の酒、口噛み酒による時空超えや、物語のテーマに響く架空の方言「かたわれ時(彼は誰れ時-の転訛)」などなど、監督の知的な創造物の数々が互いに結ばれ最終的に大きな愛として結びつき、それらが観る私達に大きな感動を与えてくれます。

【制作者的視点】愛という美しく深い普遍的なテーマを、彗星や地球の全ての美しさを凝縮したかのような日本の絶景を背景に描くことによって見事に表現した名作。

【参考要素1】
愛という普遍的なテーマを、それを象徴するかのような絶景の中で描いたこと
人の命の根本にある愛、科学的にみればそれはただ単により優れた生命を誕生させるために遺伝子に刻まれたシステムのようなものなのかもしれません。ただ、それらを意識として感じるとそれが愛なのかもしれません。しかし、この映画を観ると愛とはそういったものではなく、この壮大な宇宙の物語との繋がりを感じ、時空を超えるような自分以外の誰かを想う尊い気持ち、つまり生きる意味そのものなのではないかと感じます。また、単なる背景でしかない風景を主人公たちの心を映す鏡として意図的に美しく描いた技術は見事でした。また、同ポジきって夕焼けから夜、そして朝焼けまでつなげたりした画も非常に綺麗でした。

【参考要素2】
テーマと対極にあるものを描く
やはり、愛を描くには同時にその対極にある死を描くことが大切であるのだと感じさせられる作品でした。一つの世界では死んでしまうヒロイン、そして何年も前に亡くなっているヒロインの母親、また先祖代々の遺影、そして極めつけは村が全滅し500人もの人々が一度死んでしまうことです。これら死の設定は意味も無くされているわけではなく、おそらくこの作品のテーマである愛をより際立たせるために意図的に設定されたものだと思われます。光を描くのに闇や影が必要なように作中に散りばめられた無数の死は、この作品のテーマである愛の深みを増すためのもので、そういった構成の大切さを改めて教えてくれたような気がしました。

【参考要素3】
原作を先行販売したプロモーション
映画製作の王道にあたる、原作の発売から映画公開。コレみんなわかっているのにやらない人が多い。あるいはやれない場合が多い。出版業界不況だなんだと言われていますが、自分の子供のように映画は観てないけど原作は読んだなんて人が沢山います。また119万部ですから当然億を超えた純利益があります。面倒でも出版を最初にしてから映画公開した方が映画だけの利益でも数十倍の差が出てくるのではないでしょうか?文章なんて書いているうちに誰だって上手くなるから絶対に本を書くべきです。

【参考要素4】
日常的なカットを入れることよって高まる感情移入
フライパンで焼かれる目玉焼き、開け閉めされる扉、Lineなどなど誰にでも共通してある日常的な画を入れてゆくことによって視聴者の感情移入を深めることに成功しています。これも映画制作の常套手段ではありますが、この作品では露骨な程やってます。ここまで露骨にやる必要が本当にあるのかは疑問ですが、要所要所入れていくと効果的です。

【参考要素5】
映画をなめるな!
単なる高校生の恋愛を壮大の宇宙や地球、そして美しすぎる日本の絶景を背景に時空を超える意識を描くことによって愛の本質を描くことに成功しています。作品を哲学的な領域まで考えぬき、それをプロの表現力で描いた名作です。やはりしっかりと普遍的なテーマを選びその本質を見抜き、それを的確に表現する工夫が必要だということがよくわかりました。

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